はじめに
去る2019年12月13日(金)に渋谷で開催されたRuby Business Users Conference 2019に行ってきました。
Ruby Associationが主催するイベントで、名前の通り仕事でRubyをどのように生かしているか事例とともに紹介される機会です。
ちなみにこのイベントは発表者も一部公募制。来年はなにか応募したいなあ。
講演内容
講演は以下6本(敬称略)。
- 基調講演1 Ruby 2.7 and Beyond(Matz)
- 研究開発におけるRubyの役割(株式会社LegalForce 執行役員兼最高研究開発責任者 舟木類佳)
- SIer企業が Ruby で成長する自社 Web サービスをリリースするまでの失敗と成功の道のり(株式会社システムインテグレータ 製品企画室リーダー 横山弘典)
- 開発者探しからローンチまで3ヶ月!Rubyだから実現できた「爆速逆転トライ」(株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO 川口哲平)
- RubyとAIで日本中の家の査定に挑んだ結末(株式会社コラビット 代表取締役 CEO 浅海剛)
- 基調講演2 仕事とOSS開発の調和(株式会社Speee 専門執行役員 兼 VP of Engineering 大場光一郎)
以下、ざっとメモを。
基調講演1 Ruby 2.7 and Beyond
Ruby 2.7で入る機能紹介。
- パターンマッチ
- キーワード引数の変更点(3.0にむけて警告を出すようになる)
- number parameter
- Begin/EndなしRange
- GC.compact
- Better IRB
- Fiber高速化
- JIT高速化
ちらちら @tmtms さんが書かれているRuby 2.7 Advent Calendarを見ながら聞いていました。
研究開発におけるRubyの役割
LegalForceさんが展開されている契約書のレビュー支援システムのお話。
リーガルテックと呼ばれる分野で、Rubyが随所に使用されている例。WebアプリではRailsだけでなく状況に応じてSinatraやHanamiも使用されており、またAASMという有限オートマトンライブラリも活用されているお話もありで、非常に興味深いお話でした。
SIer企業が Ruby で成長する自社 Web サービスをリリースするまでの失敗と成功の道のり
プログラミングスキル判定サービスのTOPSICをRubyで作成されているというお話。プログラミングスキル判定サービスって単なるお遊びでは?と思っていたのですが、採用や社内のスキルアップ、プログラミングコンテストの開催にも活用されているようで、問題はAtCoder社が作成されているかなり本格的なもののようです。
開発者探しからローンチまで3ヶ月!Rubyだから実現できた「爆速逆転トライ」
開発者探しから3ヶ月でローンチというのが(講演終了後)話題となったお話。開発者探しとして心がけられていたという
これらのポイントが成功の鍵だったのではないかなと感じました。
RubyとAIで日本中の家の査定に挑んだ結末
非常に会場が盛り上がった講演。昨年のRuby Bizを受賞されたサービス。自分の身に起こった問題を解決するためにHowMaを開発されたということで非常に説得力のあるお話でした。
更には
- 空き家問題
- 失われた500兆円 -新築偏重&中古不足 マーケットによる歪み
といった社会問題に対しても挑まれているお話を聞き、Ruby Bizを取られるのも納得というお話でした。
基調講演2 仕事とOSS開発の調和
Speeeが取り組まれているOSSは数多く、
これらをなぜやるのか?ということに対して
という分類で説明され、非常に納得感の高い講演でした。特に「ソフトウェアの寿命を伸ばす」というのは目に見えづらいOSSへの取り組みに対して非常にわかりやすいメリットだと感じました。
ただ、仕事とOSSとのバランスについては難しいところで、
という点でバランスが難しいとも語られていました。
全体を通して
主に以下の3点を感想として持ちました。
- 基調講演以外の講演ももっと長い時間聞きたいと感じました。
- 都内での開催は移動が楽なので、年に1回と言わずもう1回開催してほしい。
- Ruby Biz記念講演は(今回の事例だけでなく)他の事例もたくさん聞きたい。
来年はなにか発表できたらいいなあ...